ある日、大濠公園を走っていた。
自転車で爆走していたお婆ちゃんに言われた。
「そんなに速く走るなら危ないから、競技場へでも行け」
なるほど。
またある日。
山田池公園で仲間と10人ほどでペース走をしていた。
キロ4分。
ベビーカーを押している人に言われた。
「集団で走るのはぶつかるから危ない。競技場に行ってほしい」
なるほど。
その後、子育てを始めた。
息子には好きな遊具があった。
ぐるぐる回る遊具。
回りながら、
「ソニックに乗ってるみたいだよ!お父さん」
と喜んでいた。
ある日、その遊具に紙が貼られた。
危険遊具
息子はその前で、紙をじっと見ていた。
何も言わない。
またこれだ、と思っているようだった。
なるほど。
娘はサッカーに夢中だった。
保育園でも男の子に混じって、ボールを追いかけていた。
このまま女子サッカー部に入ってしまうのではないか。
陸上部だった父親としては、少し心配していた。
ある日、公園に紙が貼られた。
ボール遊び禁止
なるほど。
公園でやることがなくなってきたので、かくれんぼを始めた。
子どもの友人や、そうでない子も集まり、二十人くらいになった。
その次の日。
騒音禁止。
公園がうるさいと言ったのは、町内の老人会らしい。
なるほど。
速く走るな。
集まるな。
遊ぶな。
ボールを蹴るな。
騒ぐな。
いよいよ、やることがなくなった。
そんな時、ベビーカーランの女性がハーフマラソンの記録を更新したというニュースを見た。
ベビーカーランには三つのアイテムが必要らしい。
安全に設計されたベビーカー。
無駄に強靭な親。
移動を退屈と思わない子供。
なんだ。
俺は全部持っている。
私は昼間の大濠公園を走った。
3歳の息子をエアバギーに乗せて。
私はその後ろから押した。
走路を単独で。
思いっきり走る。
キロ4分。
実に爽快だ。
息子も喜んだ。
「ぼくはソニックらー。ぼくはソニックらー!」
公園には、私と息子しかいない気がした。
走り終わってから、オムツが臭いことに気がついた。
開けてみると、ゴマがたくさん入っている。
昔、タイでは象の糞から拾ったコーヒー豆が高級品になるという話を聞いたことを思い出した。
ゴマも、何かの役に立つのかもしれない。
ならない。
私はオムツを捨てた。

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