実家で農業の手伝いをした話

帰省して農作業を手伝った。

箱苗をケースに盛り、土を触り、手押し車を押して育苗場所へ搬送する。都会ではほとんど使わない筋肉が妙に疲れる。作業が終わると、実家の居間で久しぶりに妹二人と話をした。

妹たちは頭は良いのだが、どうも都会が合わなかったらしい。一度は外へ出かけたものの、結局ふたりとも福岡の外れの郊外に家を買い、しょっちゅう実家へ顔を出す人生を選んでいる。

我が家には昔から妙な「ブームの継承」がある。

学生時代、私はB’zのCDを大量に実家へ置き去りにしたまま都会へ出た。正確には「置いた」というより「捨てた」に近い。

ところが、それを妹が拾った。気がつけば妹だけではなく母まで巻き込み、今では私以外の三人がファンクラブ会員になるほどの一大文明を築いている。

考えてみれば、私も似たようなことをしている。

引っ越すたび、私は庭先やベランダにスイスミントを植える癖がある。別に深い意味はない。

だが数年後に帰省すると、その土地に妙にミントだけが繁殖していたりする。人間は自分がいなくなった後も、何かを勝手に増殖させたい生き物なのかもしれない。

そんな妹だが、人見知りで気が強く、口も悪い。真面目すぎて、管理職の悪口ばかり言っていた父の気質をきれいに継承している。

その妹が、この前のB’zのライブで「隣のオバサンの息が臭すぎてライブに集中できなかった」と怒っていた。

面白かったのは、その直前まで「ジャニーズ系が好きな女の人と、韓流系が好きな人ってなんとなく雰囲気違うよね。ファンって似てくるよね」という話をしていたことだった。

私は心の中で、「じゃあお前も臭い側なんじゃないのか」と思った。しかし、それをそのまま言ってしまうと芸がない。

そこで私は、葉桜と魔笛っぽく急にB’zを口ずさんでみることにした。

【あっという間
時間がつのりい
何も見えなくなりそう
街の色もかわり続ける中で何だか
今も一緒にいる
何かが心をつないでいる
いつでも気にしている
強い磁石に、引っ張られているように
気がつけば今も一緒にいる
君が居るなら戻ってこよう
いつでもこの場所に】

「なんね!なんで急に兄ちゃん歌い出すとね!」
妹の朝倉弁が炸裂する。

私は、「同じ者同士、結局集まるんだよ」と言いたかったのだと思う。

そういえば、いつも汗臭いマラソン仲間から来ていた飲み会の誘いに、まだ返事をしていなかったことを思い出した。

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