火曜日の朝5時。
カイくんとセンちゃんを誘って400mx10本やった。
前日の夜に急に誘ったにもかかわらず、二人とも快く来てくれた。
カイくんもセンちゃんも、私よりずっと後になってマラソンを始めた後発組だ。
特にセンちゃんはビーチサッカー部の部長もしていて、とにかく練習への熱量が高い。
「マエケンさんより遅い俺たちが、練習しないなんてありえません。」
なかなか格好いいことを言う。
カイくんも、「一緒に必ずやり切りましょう。」そんな言葉を、ごく自然に口にする。
彼らを見ていると、学生時代に出会った”正しい体育会系”を思い出す。
福岡国際を今までの延長線上で維持したい私とは違う。
彼らには、何者かになろうとする力がある。
その熱量は、観察していて実に興味深い。
400mを10本、レスト60秒。
長距離選手なら誰もが一度は通るような練習だが、私にとっては調子を測る物差しでもある。
5000mで15分前後を狙えていた頃は、66秒前後で10本こなしていた。
数をこなしてきたが故に再現性の高い練習である
今年は調子も戻ってきた。
72秒ではなく69秒設定。
そのまま68秒へ脱皮したかった。
ところが走り始めると想像以上に苦しかった。
普段72秒と言いながら自然と70秒まで上がる日のほうが、案外楽だったりする。
人は目標が低いほうが、勝手に頑張れる生き物なのかもしれない。
結局、思うようには走れなかった。
おまけに軽い肉離れの気配まである。
少し抑えながら積み上げるしかない。
練習後、カイくんに
「68秒に脱皮したかったけど無理だった。」
そう話すと彼は迷いなく言った。
「次は絶対やり遂げましょう。俺が手伝います。いや、手伝わせてください。」
本当に嬉しかった。
でも、心の中では少し違うことを考えていた。
私はソフトウェアには自信がある。
一人でも、誰かとでも、やる時はやれる。
ただ今は、ハードウェアがソフトウェアについてきていないだけなのだ。
そう言いかけてやめた。
熱い人間に冷水を浴びせる必要はない。
だから私は笑って言った。
「次は必ず弱い自分を倒しにいこう。」
そう言って、彼の火に少しだけ薪をくべておいた。

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