今日はカイくんのお誘いで、朝5時から河川敷へ。
メニューは400メートルを10本。
メンバーはカイくん、センちゃん、そしてこのブログでは初登場となるナイトウさんである。
なぜナイトウさんなのか。
年上で、元ボクサーだからだ。
私は勝手に、生意気な若造の亀をリングの隅で教育的指導してくれそうな名前だと思っている。
そんな期待とは裏腹に、ナイトウさんは実によく笑う優しい人だ。
空はまだ曇っていて薄暗い。
夏とはいえ、夜の名残が河川敷には残っている。
一本目。
体がまるで動かない。
あたりが暗いので体も眠っているように鈍い。
二本、三本と積み重ねていく。
すると少しずつ東の空が白み始めた。
不思議なもので、景色が明るくなるにつれて、自分の体まで目を覚ましてくる。
六本目。
ついに高温多湿の河川敷に耐えかねたカイくんがランシャツを脱ぎ捨てた。
それを見たセンちゃんも脱ぐ。
さらにナイトウさんまで続く。
気付けば私だけが服を着ていた。
超早朝とはいえ、散歩中のおじいさん、おばあさんもいる。
少しだけ「キャッ」という空気になった気もしたが、体脂肪がほとんど存在しない三人は、なぜか風景に溶け込んでいた。
私は太ってはいない。
ただ昔から腹まわりだけは正直で、この時期はどうも見栄えがしない。
だから脱がなかった。
……ということにしておく。
ふと考えた。
ここは河川敷だ。
しかも海水と川の水が混ざる汽水域。
もし数百メートル向こうが砂浜だったなら、上半身裸でも誰も気にしないだろう。
河川敷では少し恥ずかしくて、浜辺なら自然に見える。
その境界線はいったい誰が決めたのだろう。
十本終えた。
平均タイムも充分目標以上。
カイくんが笑顔で言う。
「脱皮できましたね!マエケンさん。」
嬉しいのだが、一つだけ気になることがあった。
もしかすると、スタート地点を少し手前にしていたかもしれない。
以前もガマちゃんに言われた。
「マエちゃん、ちょっと早く止めてない?」
ゼロメートル地点の印は、色あせた小さなマーキングだけ。
草に隠れてしまえば、ほとんど分からない。
速くなったと思っていたタイムも、その一本の線が違えば、まるで別の意味になる。
帰り道、お盆休みの予定を話しながらジョグした。
さっきまで快適だった河川敷は、もう容赦なく暑い。
博多湾の向こうから、真っ赤な太陽がゆっくりと姿を現す。
夜と朝。
川と海。
服を着るか脱ぐか。
そして、400メートルのスタートライン。
今日だけでも、ずいぶんたくさんの境界線を行き来した。
けれど、そのどれもが、案外あやふやだ。
境界線は自然の中にあるようでいて、本当は人間の頭の中に引かれているものなのかもしれない。
そんなことを考えながら、私は汗だくのランシャツを着たまま家へ帰った。

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